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世界は
一冊の書物へと至るために
つくられているのです

この言葉は、19世紀のフランス詩人ステファンヌ・マラルメ Stéphanne Mallarmé(1842-99)が、ある評論の中で述べたものですが、21世紀初頭、複雑化した世界を書物にまとめようとしている多くの知識人の姿を見ると、マラルメのこの言葉は、未だ色あせることなく私たちの前にあるように感じます。

一方、日本においては毎日約200点の新刊本が出版されています。それらが全て読者の元に届けば良いのですが、実際には書店からの返品率が40%と言われており、戻った本は良くて在庫、悪ければ裁断され、トイレットペーパーなどに姿を変えます。そんな風景を見ると、一冊の書物へ至るどころか、フードロスならぬブックロスが蔓延した世界とも言える状況です。この延長線上に将来の書物があるとするならば、確実に不幸な未来しかイメージできないでしょう。

今月の課題図書
土井善晴、グラフィック社、2016年
NHKの「きょうの料理」で有名な土井善晴さんの著書。タイトル通り、一汁一菜のレシピも登場しますが、「ご飯、味噌汁、漬物」を軸に日本人の美意識や人としての在り方について綴られていて、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』にも通じるものを感じました。

日本橋書院の本

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(2021/01/18更新)