作業所は「生への素地を養う場」 ─ 引佐草の根作業所(2)

前回の番組からお届けしている「障害者の働く現場シリーズ」は、静岡県浜松市にある「草の根作業所」様のインタビューをお聴きいただいています。

平成30年度のB型作業所の平均工賃は月額16,118円

草の根作業所は「就労継続支援B型」として、障害を持った利用者の方々の就労支援をしています。利用者の皆さんはそこで自動車部品やオートバイ部品の組み立てだったり、ミシンを使った縫製品を作ったり、施設外の業務委託として洗濯物を畳んで収納といった作業をしています。

これらの成果物を見ると、健常者が作業したモノとなんら変わりはないのですが、労働という観点として考えると、大きく異なるのが工賃です。

2020年現在、私が住む東京都の最低賃金は1,013円です。

仮に、8時間労働で20日勤務したとすると、単純計算で 1,013円 × 8時間 × 20日 = 月給162,080円 となります。

一方、B型作業所の月給はどうかというと、厚生労働省のホームページに平成30年度の平均工賃が掲載されていました。

この資料では、就労継続支援B型事業所の月額の平均工賃は16,118円、時給にしてみると214円だそうです。

この金額をいろんな人に話すと、「なんでこんなに安いの?」と疑問に思われる方がほとんどです。特に最低賃金に程遠い平均時給214円の金額を聞いた途端、驚く方、憤る方もいらっしゃいます。

経済的合理性でなく、働く人が存在意義を感じる場

ただ、雇用という観点から考えると、この平均工賃であっても法律上全く問題がないことがわかります。

一般企業では従業員と雇用関係を結ぶため最低賃金を守る形で給料が発生します。一方、B型作業所の場合、利用者は働いているのではなく就労のための訓練を受けているという考え方なので、最低賃金制度には当てはまらないのです。

従って、一般企業の雇用形態で得られる賃金と、作業所で利用者がもらう賃金を比較すること自体、ナンセンスと言えます。資本主義社会にどっぷりつかっていると、どうしても経済的合理性の観点から考えがちですが、作業所は利益追求という機能を第一に設立されたわけではないのです。

しかしながら、障害者の自立ということを考えると、今の社会で普通に食べていける金額ではありません。確かに税金から障害者年金も支給されてはいますが、それを合わせても月10万円に達していないようです。

そういった状況を各作業所のトップの方はご存知のようで、次の右肩上がりのグラフを見るだけで、毎年工賃アップを目指す努力をされていることが感じ取れます。

出展:厚生労働省『平成30年度工賃(賃金)の実績について』

これらのことを踏まえ、草の根作業所の工賃の話は、田中施設長の声のトーンからくやしさみたいなものが感じ取れます。さらに作業所のネーミングに込められた思いから、田中施設長が具体的に何を目指しているのかご理解いただけると思います。ぜひお聴きいただけると嬉しいです。

今回の「行間ラジオ」は・・・

  • 月の平均工賃は17,000円
  • 一般就労はなかなか厳しい状況
  • 「ありがとう」と言われることを重視
  • 職員の方々は、利用者と一緒に作業できることに喜びを感じている
  • 作業所名前の由来は「根を養えば、木は育つ」、「生への素地を養う場」

「行間ラジオ」をお聴きいただくには

次の3つの方法でお聴きいただくことができます。

  • 本ページの最初の画像の下にある音声プレーヤーを使ってお聴きいただくことができます。
  • iPhoneをお持ちの方は、ポッドキャストアプリより「行間ラジオ」で検索し、購読いただくと、更新される度に番組をお聴きいただくことができます(Apple内のPodcastサービスはこちら»)。
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